The Aims of the International Association for Japan Studies

Scholarly societies in Japan are generally organized according to discipline, as in the case of societies for the study of English literature or Japanese literature. Moreover, because these scholarly societies are based in Japan, the intended audience for their research is naturally Japanese people. For this reason, it is inevitable that language used in such societies and their research groups is Japanese. Of course, this tradition of scholarly societies run in Japanese for Japanese must be firmly supported, and indeed developed further in the future. However, at the present time, when globalization is making giant strides within Japan, in addition to such conventional scholarly societies, that use Japanese and are aimed at a predominantly Japanese audience, there is also clearly a need for a society which carries out its activities in English, the language which is fast becoming the world's lingua franca. Such a society could promote wider and deeper exchange among people from different parts of the globe, and so contribute to international exchange through the medium of research into Japan. To fulfill this aim, we here announce the establishment of the International Association for Japan Studies. At this present juncture, when there are calls for reform and renewal in all areas of Japanese life, including the political and economic realms, we hope to meet the needs of the time with a new approach to the running of a scholarly society. It goes without saying that our new society will need to be continually improved from now on and that change in direction may be required from time to time. However, it is our intention to develop the society on the basis of the following three general principles.

  1. The object of the society's researches will be all fields of study pertaining to Japan, including the humanities and the social sciences.
  2. Anyone, inside or outside of Japan, who has an interest in Japanese culture will be eligible for membership, regardless of nationality.
  3. The language used in the society and its research meeting will be English.

We ask all who agree with the above aims to attend the society's first Convention for Research Reports, which is to be held on the 23rd July (Saturday), 2005, as outlined in the attached paper, and kindly to lend us their valued support.

June 2005
Takehisa Iijima,
President of The International Association for Japan Studies (IAJS),
Emeritus Professor at Yamagata University.

「国際日本学会」設立趣意書

日本の学会は、英文学会とか国文学会のように、すべて縦割りになっております。しかも、日本で学会が営まれることから当然のことながら、研究の成果は日本人を対象にしており、それゆえ、必然的に、学会・研究会の用語は日本語が使われております。そうした、日本語による日本人のための学会の伝統は、今後とも堅持し、発展させていかなければなりません。しかしながら、グローバリゼイションが格段に進んだ現在の日本において、日本語による、主として日本人を対象とする従来型の学会の他に、世界の人々とより広く緊密に交流し、日本研究を通して国際交流に寄与するために、世界共通語になってきた英語を使った学会活動が求められていると思量されます。 ここに、「国際日本学会」(The International Association for Japan Studies)(IAJS) の設立を提唱する次第です。  政界、経済界など我が国のあらゆる領域で改革と維新が求められている現在、日本の学会においても、今こそ新たな発想の転換をもって、時代の要請に応えていきたいと願うものであります。   新学会は、今後運営していく過程で改善したり、方向性を調整したりしていくことは無論ですが、基本的には、つぎの三点を原則としながら活動していくつもりです。

  1. 人文・社会科学を中心とする、日本に関する全ての分野を研究対象とする。
  2. 会員の資格は国籍を問わず、日本国内外の日本文化に興味を有する人とする。
  3. 学会・研究会の使用言語は英語とする。

この趣旨にご賛同いただける方は、別紙のように来たる7月23日(土)早稲田大学で開催されます上記の新学会による第1回の研究発表大会にご参集くださいまして、お力をお貸しくださいますよう、お願い申しあげます。

2005年6月
国際日本学会会長
  山形大学名誉教授  飯島 武久

国際日本学会設立に当たって

日本の学会史の上に記念すべき新たな一 頁が付け加えられることになった。国際日本 学会(The International Association for Japan Studies, 略称IAJS) が2005 年4月1 日付けで設立されたからである。 そして、 新学会の第1回研究発表大会が去る7月23日 (土) 、早稲田大学の国際教養学部の教室で行われ た。 内容については、別項の通りである。 今、この学会の設立経緯について、略述して みたい。

この新学会は、山形大学飯島研究室に事務 局を置いて長年活動してきた国際日本文化研 究会(IAJS) を母胎として、発展的に創生さ れたものである。 国際日本文化研究会(実 は略称が新学会のものと偶然同一になった が)は、1982 年9 月に飯島(当時、山形大 学助教授)が、当時の山形大学学長広根徳太 郎氏の後援を得て、山形大学及び近隣の大学 教員等数名と共に設立した学会である。 そ の設立動機については、「設立趣意書」には 次のように書かれてある。

私共は、日本文化が特別に日本人のも のであるという発想を排して、世界共通の財 産であるという認識に立ち、インタナショナ ルな立場から日本文化を研究していくための 組織を作ることを、ここに提案致します。  ここでは、英語が今日実質的には「世界共通 語」であるとの認識から、国籍の如何を問わ ず、使用言語は英語ということに致したいと 存知ます。 かくすることによって、---- (中略)-- - -日本文化を共通の土俵に上っ て研究するという共同作業を通じて、「国際 交流」の実を上げることができると信ずるも のであります。

国際日本文化研究会は、1982 年の設立 以来、会長の飯島が所属する山形大学に事務 局を置き、主として二つの活動の柱を持っ て、学会活動を続けてきた。

一つは、全国の幅広い意味での日本文化研 究者(日本人及び外国人)による全国的な 研究発表大会であり(第5回大会から隔年1 回になった)、 もう一つは、ほぼ毎月1回 のペースで、外国人を招いて、speech をし てもらい、出席者の間で質疑応答をする草の 根国際交流的な地域活動である。 後者は、 前者の純学術的な日本研究発表の場ではな く、幅広い意味での外国理解と(日本との) 比較文化研究の場になっている。 しかし、 創立以来、会長を務めてきた飯島が2002 年 3 月末に山形大学を定年退官することにな り、全国大会は一時的に休会状態になってい た。折しも、早稲田大学で、殆ど全ての科目 を英語で講義することにより、国際人を養成 するとの趣旨で、2004 年度から、国際教養 学部が 開設された。長年国際日本文化研究会の会 員として、同学会に参加してこられた早稲田 大学の木村公一教授などを含む有志の方々か ら、せっかくそうした新時代を切り開くにふ さわしい新しい学部が出来たのだから、同学 会を休会にしておくのはもったいない、是非 とも、早稲田大学を会場として、全国大会を 開催し、活動を継続して欲しいとの声が多く よせられようになった。 しかし、既存の組 織をそのまま引き継ぐのには、先行会員の会 費納入による既存の会予算への対処の仕方な ど、いくつかのクリアしなければならない問 題がある。 それゆえ、いっそのこと、会の 精神と運営のノウハウを引き継ぎながら、新 たな組織として設立した方がより望ましいと の結論に達し、準備会の総意を経て、2005 年4月1 日付けで、新たに国際日本学会とし て、発足することになった。

今、世界がどんどん狭くなってきている。 いわゆるグローバリゼイションである。 そして、このことに関連して、英語が国際共 通語になってきたことは何人も否定すること ができない。 私は、現代の世界のこのグロ バリゼーションの趨勢の中で、二つの意味で 英語を世界の共通語として使うことが求めら れているように思う。第一には、現代の世界 では、各地に世界規模ではないにしても、局 地的な紛争が後を絶たない。 それらの紛争 は、結局のところ異民族同士の(宗教を含 む)異文化に対する無理解に基づくものが殆 どである。そうした無理解や誤解の根底に は言語による意思疎通の欠如があると考えら れる。 もう一つ、世界共通語の使用が望ま れる理由がある。 今、地球上の文明は、各 地域で歴史的に発達した固有の文化遺産を破 壊し、浸食し、単一の鋳型にはめ込むような 方向性を辿っているように見える。この単一 化を推し進めている趨勢の中で、最も影響力 の強いものは、アメリカ文明であろう。 イ ラク戦争で明らかになったように、冷戦構造 の崩壊のあと、地球上唯一の超大国となった アメリカは、今や一国だけで他国の存廃を左 右しかねまじき力を持つまでになった。 巨 大な軍事力と経済力を背景にしたこの汎アメ リカ的な文明が、世界のさまざまな地域に歴 史的に育まれてきた文明の遺産を破壊し、単 一なアメリカ的なるものに塗り替えようとし ているのだとすれば、地球市民はそれぞれの 地域に固有な文化をその破壊から守らなけれ ばならない筈である。 そのためには、各地 域の言語・文化を一元的に主張するだけで は、この巨大な文明の潮力を押しとどめるこ とはできないであろう。むしろ、各国や各地 域の住民は、自国の言語・文化の伝統保持の ためにも、世界に共通する言語、即ち英語を 用いることが必要である、と考えられる。   日本の学会では、一部の自然科学分野は 別として、これまで、日本で開催される学会 では、原則として全て日本語が使われ、英語 が用いられることはなかった。 これは、  グロバライゼイションに対する対処の仕方と しては、明らかに遅れていることを意味して いる。 しかしながら、経済やビジネスの世 界で、国際化に対応する改革がとっくになさ れてきたのは、方や利潤追求が至上命令の世 界であり、そうしなければ生き残れないから である。 一方、学者の世界、学会というと ころで、とくに、いわゆる文化系といわれる 分野で、英語による研究活動がほとんどなさ れてこなかったのは、正確さを至上命令とす るから、やむを得ない面があった、と思われ る。 そして、日本語という母語による研究 活動というものは、今後とも、日本語・文化 の伝統を継承していくためには、絶対に欠か せない営みではある。 しかしながら、今や 日本国内にも、日本語による意思疎通が十分 にできない、異文化背景をもつ人々が漸増す る傾向にあり、日本人の多くも、通訳や翻訳 家などの専門家の介助者の手を借りないで も、直接外国の人々と交流する機会が飛躍的 に増大する時代になつて来た。こうしたグ ローバライゼイションの時代において、文 化・文明をリードすることによって、国民世 論に影響を与えるこの国の学者たちが、いつ までも 日本語だけによる学会活動に安住しているだ けでは、その責任を十分に果たしているとは 言えないであろう。 ここに、国際日本学会 創立の意義が存している、と自負するもので ある。 日本における他の主要な学会が明治 以来、100年前後の歴史を経過しているの に比べて、本学会は、今スタートしたばかり である。 国際日本学会は、これから国内外 の多くの人々のご指導とご支援をいただい て、未来に向かって、大きく飛躍することを 願うものである。

2005年10月22日
国際日本学会会長
                    飯島 武久